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執筆講演 - 建築コラム

日本文化の伝統、日本らしさの今後は|青少年の皆さんには日本らしさの発信を


2020年のオリンピック・パラリンピック開催が東京に決まり、日本らしさや日本のおもてなしが話題となり、日本の伝統文化は世界でも注目されている。明治から戦後にかけて日本は近代化を進め欧米の文明を積極的に取り入れた。同時に日本を世界にも発信した。新渡戸稲造の武士道をはじめ多くは自らの英語で紹介した。岡倉覚三の茶の本、内村鑑三の代表的日本人もそうだ。今回の開催決定を期に先人に見習い、日本人自身が忘れかけている日本のすばらしさを再認識して欲しい。

ドイツの建築家ブルーノタウトは1935年来日した講演の中で、滞在中に体験した日本建築や日本文化について、その著書「日本美の再発見」で伊勢神宮、桂離宮、各地の民家などのシンプルなすばらしさを述べている。内外の緩衝空間「間・ま」縁側の素晴らしさもそうだ。旧帝国ホテルの設計者、アメリカ人建築家フランクロイドライトも日本の文化を愛しその設計にも日本らしさが見受けられる。古今東西、多くの外国人が日本の良さを理解している。

新国立競技場の決定案は外国人建築家の設計である。自転車のヘルメットにも似た近未来的なデザインは建築界を中心にその是非が話題となっているが、実施設計には日本らしさの導入を期待したい。1964年の東京オリンピック競技施設は近代建築の影響を受けてはいるが、日本らしさがあると思う。山田守氏設計の日本武道館はもちろん、丹下健三氏の代々木体育館はアプローチも含め日本らしさが感じられる。設計や施工に携わった技術者を含め関わった人たちが日本の伝統の良さと最先端技術の調和をめざし発信したからであろう。当時の日本人は勿論外国人にも日本らしさが伝わったと思う。

一方、現在の世界各国にある空港はどうであろうか?ほとんどの空港ターミナルビルはグローバルデザインで同じようだ。帰国時のむなしさ、やっと日本に帰って来たという安堵感のない空港と思うのは私だけであろうか?私は数年前、中国各地にこれから造る170の空港意匠について、それぞれの地域の代表的伝統デザインを取り入れるべきだと提案したことがある。最近は改善され成田や羽田の内部空間には日本らしさが取り入れられているのがせめてもの救いだ。多くの地方空港も内部空間だけでも良いから地域色を出して欲しい。到着時の印象は特に強烈だから。

2020年に向かい建築も含め日本の歴史、郷土の歴史を学び地域風土などを研究し、日本らしさをトータルデザインして欲しい。日本の常識は世界の非常識と言われた辛い時代が長く続いたが、今や日本らしさは世界が注目し国際社会で受けいれられる時代になっている。 若人に望む!世界に日本の良さを発信し、世界の平和と発展に貢献してほしい。