執筆講演

執筆講演 - 講演講義

住宅の注文方法ほか

1999住環境フォーラム・

テーマ:マイホームを注文する際の耳よりな話
建築コンサルタント・建築家 一級建築士 市村克明

マイホームを手に入れる(造る)にあたっての注文の仕方についてお話しします。完成品(マンション、中古住宅を含む)を購入する場合についても参考になるところが多いはずです。

マイホ−ムは個人にとってはおそらく人生最大の高価な買物であり「家づくり」は衣服やテレビ、自動車を買うようなわけにはいきません。テレビなどは近代的な工場で、精密な品質管理のもとに生産され、最近もまた発覚した企業ぐるみの欠陥隠しなどはもってのほかですが、欠陥がわかれば交換も可能です。しかしながら家づくりとなるとそう簡単ではありません。それぞれの部材は品質の保証されたものであっても、個別に屋外の現場に建てられる一品生産品なのです。そこに携わる職人さんたちの技能により出来不出来も異なり、予想もしない大きな欠陥に見舞われることも多いのです。工事を依頼するにしても一生に一度か多くても数度の取引であり、しかも発注形態はテレビなどと異なり売買契約ではなく、請負契約なのです。家づくりの決心をしてから準備段階、計画設計に数ヶ月あるいはそれ以上、着工から完成までにさらに数ヶ月間も要し、1年あるいは数年間を要するまさに一大事業です。また長年住んでいるとあちらこちらがいたみだしますし、その後発生する補修や改修なども考慮して周到な計画のもとにすすめる必要があります。

■ 住まいづくりの3コ−ス

住まいづくり(注文形態)には概ね次の3つのコ−スがあります。それぞれの特徴を理解して依頼先を決めましょう。

1. 設計事務所+施工業者の分業方式

設計は設計事務所が行い、施工は工務店等の施工会社が行う方式で、設計事務所の厳しい監理の下に工事を行います。いろいろなアイデア、デザインを提案しオリジナリティ−あふれる高水準な住宅の設計図を作成し、仕様の盛り込まれた設計図に基づき施工者に見積もりを依頼、適正な価格で工事を行います。あなたの要望をよく理解してくれる設計者をパートナーとして選び、また設計図をよく理解し施工をしてくれる工務店(建設会社)を選ぶ必要があります。

2.ハウスメ−カ−の設計施工一貫方式

全国規模で営業を展開し、各地に展示場をはじめとしてモデルハウスやカタログなども充実しています。設計施工を一括して行っており、建て主との交渉窓口は主として営業部門が担当しています。モデルハウスを見ることが出来る良さがあり、品質のよい規格生産品を現場で組み立てます。それぞれのメーカーにより、採用する構造・工法、内容などに特徴があります。充分比較検討した上であなたに合ったものを決定してください。メーカーによって仕様などが異なり、どちらが良いものを安く提供しているかを安易にはいえません。

3.ホ−ムビルダ−による設計施工一貫方式

設計施工を一括して行い、主に地域密着型が多いようです。いわゆる大工さん、小規模な工務店クラスから、設計部門、モデルハウスを擁する規模のものまでさまざまです。施工実績があって良心的な信頼のおける業者さんを選ぶ必要があります。

*以上の3コースですが、いずれの場合にも誠実で信頼の出来るプロフェッショナルを選んでください。次に設計者の立場から少し述べさせていただきます。

■ あなたの夢を実現化する最良のパートナーは

設計事務所は建て主の要望・イメ−ジを安全性や機能性、耐久性や機密性など、工事予算の範囲内でデザインし、構造や材料を選定し具体的な設計図にすることを業務としています。設計図は建て主の夢を実現するための重要な役割を果たす大切なものです。建て主との共同作業により作成した設計図は、世界中にただ一つのあなたのためのオリジナル作品なのです。

■ 設計事務所を利用し安全で割安な住まいを可能に!

一般に設計事務所と呼ばれるのは、設計・工事監理等を専業に行っている建築士事務所のことです。工務店やインテリア会社等も一級(二級)建築士事務所の登録をしている場合がありますが施工との兼業を主としています。

設計事務所の作成した設計図には、どの部分にどのような材料を使用するかなど、すべての情報が記されています。したがって見積りも設計図に基づいて行われ、施工業者との価格交渉も可能です。施工も設計図により進められ工事監理業務を伴うことで、割安で安全かつ健康的な住まい造りが可能になります。

■ 工事監理とは、あなたに代わる見張役!

設計と同じように重要なのが工事監理です。これは、工事が設計図通り適正に行われているかどうかを確認し監督することです。工事のミスなどを防ぐだけでなく、出来具合についても専門家の目でチェックを行い品質の向上を計ります。充分な工事監理を行うには現場へ出向く回数だけでも最低十数回は必要でしょうし、材料決定や施工図などのチェックなどにも多くの日数を要します。ハウスメ−カ−やホ−ムビルダ−による設計施工一貫方式発注の場合であっても、現場におけるポイント監理を第三者の専門家(建築士等)に依頼することをおすすめします。

■ 気になる設計監理料のお値段は?

建築家(専業設計事務所)による設計監理報酬は、構造・規模、内容(仕様、仕上、設備など)費やす労力等によりそれぞれ異なりますが一般的には工事費の8〜15%程度というところでしょうか。私の事務所の話になりますが、単純に工事費の何%です!というふうにはいただいておりません。これは『良い住宅をより安く!』造るために心血を注ぎ努力しているからです。その努力、成果に対して報酬を頂くのであり、設計上のコストコントロールはもちろんのこと、工事費についてもあらゆる角度から低コスト化を実現化すべく検討し、工事見積書の調査はもちろん、施工者にも協力理解を求め、工事費の交渉を行い、品質向上のための工事監理等を行うからです。設計料と工事監理料、確認申請費用や契約協力業務費用等の業務について、業務範囲、内容によりその都度、業務内容内訳明細見積書の提出により協議の上決めさせていただいております。設計依頼の前にあらかじめもよりの設計事務所にたずねてみて下さい。工事費のほかに設計費用が別にかかりますが、設計者の施工業者交渉などにより、設計費用以上により安く出来る場合もあります。

■ 設計事務所の部分的な活用法

建築家の多くは設計監理業務の全部についてお引き受けするのはもちろんのこと、部分的な事柄に関しても協力しています。ハウスメ−カ−やホ−ムビルダ−に設計施工一貫方式で依頼する方も気兼ねなく御相談されるとよいでしょう。その利用法をいくつかあげてみましょう。それぞれ、料金については事務所により異なりますが、私の事務所の例で35〜45坪の木造住宅の場合です。

○家づくりについての疑問点などすべての事柄についてのアドバイス、御相談に応じます。
相談料は2時間で10,000円です。

○モデルハウスなどへの同行と、専門家としての中立的助言、意見などの提供をします。
半日(約3〜4時間)35,000円です。

○間取り、デザインなど具体的内容についての助言、提案をいたします。但し設計図の作成はしません。
2時間で15,000円です。

○施工業者(ハウスメ−カ−含む)の見積書の調査、査定をお手伝いします。価格交渉に役立つかも?
1件につき80,000円程度です。

○工事請負契約書などの内容調査、助言を行います。支払い方法や工事期間、保証期間・内容など詳しく決めておく必要があります。
1件につき30,000円です。

○工事中の現場に出向き、主要な段階での工事の内容確認をします。次の工事に進むと見えなくなってしまい、確認出来なくなってしまう前に行う必要があります。たとえば基礎工事の場合、コンクリ−トを打設(流し込む)前の鉄筋の配筋状態・本数などの確認や、木工事における樹種・材種の確認、筋かい(柱と柱の間に斜めに入れる材木のこと)補強金物などの確認、断熱材の施工状態、屋根、防水工事の下地状態の確認などがそれです。各々工事工程ごとに電気、給排水、換気設備等をも含めて重要な時期にチェックが必要です。1回(概ね2時間程度)あたり35,000円です。少なくても10回程度は必要でしょうが、予算に応じて1回だけでも依頼されてはいかがでしょうか。 完成段階には引渡し前のチェックが重要です。内外装の外観機能検査(はくり、目地状況、塗装状態、建具の開閉、金物状態他)、設備の試運転などがそれです。不具合があれば手直しを指摘し、再検査が必要です。完成検査は60,000円、再検査は30,000円です。

以上は私の勝手な解釈による発言ですが、理解をしてくれる建築家の方々は多いと思います。詳細につきましてはお気軽に相談されてはいかがでしょう。御不明の点がありましたならば、私ども空間建築研究所 info@sda-a.com までご相談ください。

以上