執筆講演

執筆講演 - 講演講義

今、保育園に求められるもの--「保育所の新会計基準と移行手続きセミナー」にて

2001/11/05 大宮ソニックシティ2001/11/06 つくば研究支援センタ−

テーマ「保育園施設の課題」
空間建築研究所 代表・一級建築士 市村克明

※下記文章はセミナーでの講演内容を要約したものです。

今回お集まりの皆さまは保育園の理事長、園長あるいは管理運営にたずさわる方であるとお聞きしていますので、現状抱えている問題点の解消、今後の保育園施設の在り方等につきお話しします。
最近の幼児を狙った犯罪の発生、特に大阪の池田小学校の児童殺傷事件は衝撃的でした。地域に開かれた学校を目ざす方針を転換しなければ、という議論は全国的におこっています。弱者を守るにはどうすればよいか?という問題は園舎建築の施設づくりも含めて研究がなされています。防犯のみならずいくつかの事柄についてお話しします。

1.耐震・防火・防犯を考慮した施設づくり、安全・安心のある園舎を

大地震が発生した時に、「危ない、外に逃げろ!」と言われるような建物がいかに多いことか。弱い子どもを預かる施設は「部屋にとどまれ、外は危険だ!」と言える建物であってほしい。災害時にも避難施設に成りえる耐震性能を備えてほしい。地震に対する余力を持った設計にしてほしいものである。皆さんの園舎、すでに建っている園舎が安全かどうかは設計、施工時の状況を把握する必要があるが、概して昭和56年(1981年)以前の建物は現在の基準からすると弱い建物である。そのような建物は耐震診断を行い補強工事などが必要になる場合が多い。補助金も用意されているので検討すべきであろう。改築(新築)をする場合には、新基準を満たす以上に2,3割は余力を持って設計するようにすべきである。その費用増加は全体金額からすればわずかな金額である。

都心から離れた郊外の保育園は低層で敷地も広く防火についてはあまり問題があるとは思われない。万が一の火災発生を考慮して一酸化炭素が発生しやすいものを置かないようにしておく必要はあるが。建材類についてのチェックは必要である。耐火材、防火性能の建材類を使用する、家具、什器備品に至るまで把握すべきである。日常の避難訓練は特に重要である。

防犯、機械器具やセキュリティグッズも数多く市販されている。適材適所の設備を組み合わせて取り入れるべきである。施設づくり設計上からも、職員室の位置や死角を少なくする所要室配置の配慮が必要である。但しあまり過信は出来ない。新規保育士の採用には武道の心得のある人を採用してほしい、皆が武道家であればよいのだが。犯罪者はプロレスラーなど格闘家ではないので私のように強くなくても武道の心得があれば撃退できるはずだ(笑)。自衛隊の一部隊員を学校、保育園などの警備に当たらせるべきだということを内閣に進言したが採用されてはいない。自分の身は自分で守る!これが基本である。

その他にも指つめ防止、バリヤフリーなど最近の園舎には細かい配慮が必要である。園児に対して至れり尽くせりだ!転んで大怪我をする子供が多いのも、昔であれば体験して学習して成長したのに、少しのキズでも今の母親は、過保護で・・・ウンザリである、と言っても万が一の場合には訴訟が待っている。皆さんは怖がらずに保険にでも入って(笑)、日本の将来を担う逞しい子供を育ててほしい!

2.豊かな感性を育てる施設づくり、思いありのある(仁・恕)子供を育てる園舎とは

子供は遊びの天才である!皆さんも自身の子供時代を想像してほしい。どんな絵でも描いたでしょう。今現在も描けますか?大人になると色々雑念が入り込んで純粋さがなくなりむずかしいだろう。子供の純粋な目、顔、すばらしいですよね。個性豊かな溢れる才能をのばしてあげようではないか。

その中で一番重要なのは「学ぶべきは天然である!」という、自然と親しむことである。具体的近道は、天然素材に接することである。光、空気、風、木、土、水、虫・・・など。それら自然に接することが出来る環境作りが必要となる。建築、設備、外構、遊具などのすべてを一体的、有機的に創るべきである。室内と室外、その中間地帯「縁」も重要である。今風に言えばウッドデキもその一つであろう。コーナーごとの遊び場も必要である。子供も十人十色、百人百色である。少人数、好きな子供どうしのグループ行動もこの頃からあらわれる。具体的手法などについては私どもの設計した物件を参考にされたい。