業務経歴

ケーススタディ

住宅・共同住宅

五毛の家 1987

所在地静岡県伊東市 用途専用住宅 構造木造 平屋建 3棟および門屋・御用門
敷地6128.44 平方メートル (1853.85坪) 延面積485.93 平方メートル(146.99坪)

注釈

一人一棟の三世代住宅。建物は伊豆七島を一望出来る位置に配置、傾斜地を利用した数寄屋風住宅。サッシ、金物などは使用せず、基礎は東海沖地震にも対応すべく鉄筋コンクリート構造基準を適応。主屋の玄関は南北面ともガラスで解放され自然の中に位置するユニークなデザイン。別棟も床・壁・天井とも檜縁甲板張りの独特のデザイン、他にもアイデアを屈指している(笑)。キッチン、家具などは北欧へ買い付けに出向く。

この家はあるゼネコンの営業部長からの「木造の住宅の設計があるのですがやりますか?」「もちろんやりますよ。」「お客さんが方眼紙に書いた間取りが有りますが専門家の立場で若干替えても良いのでお願いしたいのです、図面は明朝までに欲しいのです。」徹夜して銀座の銀行の支店長室に届け「適当に修正ししたが、オーナーと会わずに打ち合わせもせずに酒も飲まずに図面など描けないが部長の頼みだから徹夜して間に合わせたよ。」どうせ仕事にならないと思ったから捨てぜりふで退散、事務所で寝ていると「今日夕方、来て欲しいのです。」何事かと思ったが行ってみるとビールと鰻などが用意され、和服の似合う女性オーナーから「先生のこと気に入りました。一杯どうぞ・・・」話がはずみ依頼を受けたがお金はいくらかけても良いとのことだ。

施工はオーナーの知人の工務店がするはずであったが、設計がエスカレートして工事予算も大幅に増えた。数億円の工事だからね。大手ゼネコン部長曰く「こんな案件ならばうちで請けたいな。」知人の工務店と話をつけたらしく特命工事となった。知人の工務店社長は設計監理者とゼネコンのお目つけ役で監視役、オーナーからの報酬は数千万円とのこと。大工さんは伊豆の有名な料亭旅館を担当した棟梁たち、一棟ずつ受け持つ事となる。毎週の定例会議でも棟梁たちは他の棟梁とは口もきかず〜マイペースで仕事を進める。これにはゼネコン所長も私も参ったね。何とか収めて立派な住まいが完成した。

《連続的和室空間》

伝統的日本家屋の和室はいぐさ畳の床、わらと土で造られた聚楽壁、天然板などの天井、紙でつくられたふすまや障子〜で仕切られている。しかもいくつかの部屋は個別に使うこともあれば連続して大きく使うことも出来るように配置されている。このような空間は、日本の和室の特筆すべき素晴らしさである。床の間、書院などもあり書画や置物などを飾る芸術的空間でもある。機能的には使い方も様々で、机やお膳、卓袱台、座卓や座布団、寝具布団などの家具調度品も出し入れ設置自由で、食堂、茶の間、書斎、寝室など、その用途は融通無碍の空間に変化する。結婚式や葬式などの冠婚葬祭、多目的空間にも使われた。しかも素足で行動出来るから自然との一体感も味わえるし清潔でもある。夏の暑いときには窓を開けて風の流れを感じて涼しく、風鈴はいっそう涼しさをもたらす。冬は陽当たりのよい縁側で会話ははずみ、火鉢によりさらに暖をとり、四季折々を味あう事も出来る知恵ある空間である。広縁、縁側は内外の緩衝の場であり、特に重要である、現代に生きる皆様も建築するときには是非とも御一考ください。